生理の約2週間前に起こる、カラダや心の不調であるPMS(月経前症候群)といいます。
頭痛や腰痛、むくみ、めまい、イライラ、集中力の低下、無気力など人によってさまざま症状が出ます。
「生理は病気じゃないから…」
と我慢する人が多かったPMSの症状ですが、PMSのメカニズムが解明されてきたと同時に治療方法も確立されつつあり、積極的に症状を改善させようとする女性が増えてきました。
中でも副作用の心配が多い西洋薬とは異なり、体の中から改善を目指す漢方による治療は非常に注目されています。
即効性がないことがネックではありますが、長く付き合っていくには体への負担が少ない漢方が最適です。
また、1種類でいくつもの症状に効く漢方は、PMSのように多様な症状が出る病気にはうってつけなのです。
そこで今回は、漢方を使うことでPMSと上手に付き合っていく方法をご紹介していきたいと思います。
もくじ
1.生理前の症状別に効果的な漢方
2.月経前症候群PMSの症状
2-1.体と心にでる症状
2-2.症状が起きる原因とメカニズム
2-3.すぐにできるPMS対策
3.漢方をはじめる前に知っておくべきこと
4.自分の体質に合った漢方の選び方
5. 漢方の入手方法
6. まとめ
1.生理前の症状別に効果的な漢方
生理前の諸症状は誰でも少なからず感じたことがあるのではないでしょうか。
「どうにかしたいけど、強い薬を毎月飲みたくない」
と思っている方には、漢方のほうが向いているといえます。
ここでは症状別におすすめの漢方をご紹介します。ただし、漢方はその人の体質により合う薬を使用したほうが効果的ですので、購入時には医師や漢方医などに相談しましょう。
まずはおすすめの漢方を知って使用してみるのが賢明でしょう。
1|頭痛・腰痛・肩こりに効く漢方
頭痛・腰痛・肩こりは血行が悪いことから引き起こされる症状です。血行を良くする漢方をご紹介していきます。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
出典:AllAbout
特徴|比較的体力がある方向けの漢方。下腹部痛、頭痛、腰痛、肩こりの他、のぼせ、めまい、月経痛、月経
不順、更年期障害、にきびなどに効果があります。
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
出典:よいとこせ日和
特徴|筋肉質でがっちりとした体型で比較的体力がある方向けの漢方。頭痛、肩こり、腰痛の他、便秘、のぼ
せ、月経不順、月経痛、月経時や産後の精神不安などに効果があります。
2|ひどいむくみ・冷えなどに効く漢方
生理前は体が水分を蓄えようとするため、体の水分バランスが崩れやすくなり、むくみや冷えが起こりやすくなります。そのため、ここでは水の異常に効く漢方をご紹介していきましょう。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
出典:wonder of life
特徴|細身で華奢、体力のない方(冷え症や貧血の傾向があり、疲れやすい方)に向いている漢方。むくみ、
足腰の冷え、耳鳴り、動悸、月経不順、月経痛、更年期障害、頭痛、肩こりに効果があります。
防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)
出典:healthクリック
特徴|疲れやすく、汗のかきやすい方向けの漢方。むくみや多汗症、肥満に伴う関節の腫れや痛みに効果があります。
3|イライラや不安に効く漢方
生理前の諸症状の中でも厄介なのが心の症状。漢方には「気」の異常を正し、イライラを沈め、ストレスを緩和させる効果があるものがあります。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
出典:euyansang
特徴|体力が中程度以下で、のぼせ感があり疲れやすい方に向いている漢方。冷え症、月経不順、更年期障害、不眠、月経など女性ホルモンの変動に伴う精神不安や苛立ちに効果的です。
女神散(にょしんさん)
出典:健伸堂
特徴|筋肉質でがっちりした体型の方に向いている漢方。不安や不眠、めまい、のぼせなどの症状に効果的です。
抑肝散(ヨクカンサン)
出典:ミナカラ
特徴|細身で華奢、体力のない方向けの漢方。神経の高ぶりを抑えることで、イライラ感・不眠に効果を発揮します。
2.月経前症候群PMSの症状
PMSとは、Premenstrual Syndromeの略で日本語では月経前症候群と呼ばれます。
生理前にさまざまな不快な症状が起こりますが生理が始まると自然に消えていくもしくは軽くなるのが特徴です。
ここではPMSの主な症状と原因・簡単にできる対策をご紹介していきたいと思います。
2-1.主な症状
あなたの体におこる症状
- 頭痛
- 腰痛
- 肩こり
- 顔や手足のむくみ
- 便秘・下痢
- 吐き気
- 眠気
- にきび
- 不眠
- 食欲増進
心におこる症状
- イライラする
- 集中力がなくなる
- 無気力になる
- 憂鬱になる
- 不安になる
- 1人でいたくなる
- 仕事や家事の能率が低下する
- 気分が興奮する
2-2.PMSがでる原因
実はまだPMSが起こる原因ははっきりしていません。
今のところ、女性ホルモンが大きく関係していると考えられており女性の月経周期に関わっているとされています。
25日〜28日がひとつの基準として卵胞期・排卵期・黄体期の3つに分かれているのが月経周期の考え方です。
そこでポイントとなるのがエストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンに関係しているという考えが優良です。
排卵に向けてエストロゲンの分泌量が急上昇し、排卵以降は緩やかに低下するのですが一方でプロゲステロンの分泌量は黄体期に向けて一気に上昇し、月経が始まると一気に低下します。
PMSの症状が表れるのは黄体期であるため、PMSの原因はプロゲステロンによるものだと考えられているのです。
プロゲステロンの分泌量が足りない時に症状が起こると言われています。
とはいえ、女性なら誰もが分泌されるプロゲステロンですが、PMSの症状は大きな個人差があります。
そのため、喜びを感じる脳内物質であるセロトニンの急激な低下やビタミン・ミネラルの不足が原因であるという指摘もあります。
まだ、はっきりとした断定は医学の上ではされていないので薬品よりも自然原料の漢方はおすすめでしょう。
2-3.すぐにできるPMS対策
漢方を飲むだけでなく、月経前の過ごし方を工夫するのもPMS対策として有効です。すぐにできることをご紹介しますので、ぜひ今からでもやってみてください。
- 早寝早起きを心がけ、毎日自分が充分だと感じる睡眠をとる
- ハードなスケジュールを入れないようにする
- 夏でもゆっくりと湯船につかる
- カフェイン・アルコール・タバコは控える
- ビタミン・ミネラルをたっぷり含んだ食事をとる
- ハーブティを飲むなど、自分なりのリラックス方法を見つける
3 .漢方をはじめる前に知っておくべきこと
たとえば、漢方には副作用はないと言われていますが、それは間違いです。西洋薬のように強い副作用はないことで知られていますが、飲み合わせなどを間違うと息苦しさや発熱、高血圧、むくみといった副作用が出ることも。ここでは、こうした身近な注意点を紹介していきます。
漢方を購入される前に、しっかりとお読みください。
飲む期間
まず漢方は効果を実感できるまでに数週間から1ヶ月以上かかることを事前に知っておきましょう。
まずは1ヶ月飲み続けることを決めて始めることをオススメします。それでも効果が出なければ、薬剤師に相談してみてください。
飲み方
胃の中が空っぽのほうが薬の吸収が早いため、食間に飲みましょう。
冷水は避け、人肌程度の水かお湯で飲むことをおすすめします。
ちなみに漢方は授乳中には飲めないものが多く、妊娠中の方は飲めるものとNGなものがあるので医師に相談してください。
漢方の種類
漢方は二種類に分けられます。
- 医師が処方する医療用のもの
- 処方箋なしで購入できる一般薬
医療用は原料生薬から抽出されたエキスを全量用いていますが、一般薬は生薬エキスを50%使用してればいいため、医療用のほうが効果の高さが期待できるといえるでしょう。
その分、副作用の危険も高いです。医師への相談が必須です。
価格
価格に関しては、医療用は保険適用になるため一般薬よりも安めです。
医療用が2週間で1500円〜3000円程度で手に入るのに対して、一般薬は2週間で2000円〜4000円程度になります。
漢方を専門に扱っているクリニックの場合、保険適用ではなく自由診療の場合が多いので、注意が必要です。
保険適用外の場合は、1日500円〜1200円程度かかってしまいます。
漢方がほしくて医療機関にかかる場合は事前に自由診療かどうかを確認するようにしましょう。
医療機関で処方してもらうにせよ、薬局などで購入するにせよ、自分の体質に合った漢方を選ぶことが大切ですので、医師もしくは薬剤師にしっかりと相談するようにしてください。
副作用
冒頭でお伝えした通り、漢方でも副作用が出ることはあります。もちろん、さまざまな特徴の生薬を組み合わせることによって、西洋薬よりも副作用が出にくい仕組みになっているのは事実です。
しかし用法・用量を間違えたり、自分の体質に合った漢方を選ばなかったり、飲み合わせを間違ったりすると副作用が出てしまいます。そのため、初めて使う漢方の場合は、医師や薬剤師に相談するのがおすすめです。
また何か漢方を飲んだ後にいつもと変わった症状が表れた場合は、すぐに医療機関に相談しましょう。
また漢方特有のもので、その人の体質に合った漢方を飲んでも治療の過程で一時的に症状が悪化する瞑眩(めんげん)という症状が出る場合もあり、副作用といった類(たぐい)のものではなく、身体がよくなる前に一時的に少し病状が悪くなったように感じる反応です。
しかし、この症状が治まれば、自然と身体が治療前より良くなっていることに、気づかれるはずです。
自分の症状が瞑眩なのか副作用なのかは素人では判断できないので、こちらの場合も医師に相談しましょう。
4.自分の体質に合った漢方の選び方
漢方は症状よりも体質に合ったものを選ぶことが大切です。
患者の体力によって薬を使い分けるという考え方がいいでしょう。
- 筋肉質でがっちりした体型の方を実証
- 細身かつ華奢で体力のない方を虚証
- その中間の方を中間証
体力は3レベルに分けれるのでまずはドラッグストアなどで一般薬を購入する予定の方は、自分がどれに属するのかをイメージした上で薬剤師に相談するとスムーズでしょう。
医師による診断の場合は、体型の他にも汗のかきやすさやむくみやすさなどの問診により、最適な漢方が処方されることになります。
5.漢方の入手方法
病院で処方してもらう
婦人科に行って処方してもらうのが、入手方法のひとつ。おそらく最初は低用量ピルの使用を勧められるかと思いますが、副作用の問題などから「漢方を使いたい」という旨を相談してみましょう。
また、医師によっては漢方独自の「四診」と呼ばれる方法で診察をされる可能性も。一見関係ないようなことを問診で聞かれたり、お腹・舌などを診られたりする可能性がありますが、これも原因を探るために必要な診察ですので、ご安心ください。
漢方薬局で購入する
費用は他で購入するよりも高額になりますが、専門の漢方医があなたに合った漢方薬を処方してくれます。また漢方薬局によっては、ちゃんと煎じ薬で購入できるところも。
医師ではなく漢方の専門家にしっかりと相談してから漢方を使い始めたいという方にオススメです。ただし先ほども言った通り、高額になるため、自分の予算も併せて相談するようにしましょう。
薬局やドラッグストアで購入する
最近では多くの薬局やドラッグストアで多数の漢方を取り扱っています。病院で使用されている漢方と全く同じものがパッケージ違いで販売されている場合も。医療機関まで出向く手間がないため、手軽です。
6.まとめ
自分に合った漢方を見つけることができれば、PMSは確実にラクになります。
カラダや心の不調が改善されれば、毎日をハッピーに送れることはもちろん、お肌や髪の調子も良くなり美容にも良いこと尽くしです。それに妊活中の方にとっては、ホルモンバランスが安定するため、妊娠しやすい体づくりの助けにもなります。