「ニキビが治らない」「小じわが目立ってきた」など、肌トラブルを解消したいからケミカルピーリングを検討している…という方は多いと思います。
ケミカルピーリングとは、皮膚に化学薬品を塗ることで、お肌の表面に残っている古い角質や汚れを取り除き、お肌のターンオーバーを正常に戻す肌質改善治療のこと。
ケミカルは「化学的に」、ピーリングは「剥がす」という意味があることから、興味はあるけど二の足を踏んでいる方や少し怖いイメージを持っている方もいるのでは? でも、自分の肌質を知ったうえで適切な処置を行なえば、症状改善の近道になりうる治療法でもあるんです。 今回はケミカルピーリングの効果やメカニズム、リスクについて徹底的に紹介。
正しい知識を身につけて、お肌の悩みを解消するお手伝いができればと思います!
1.ケミカルピーリングの効果とリスク
1-1.ケミカルピーリングって何?
ケミカルピーリングのメカニズムを知るためには、まずお肌がつくられる仕組みを知ることが大切です。 お肌は上から「表皮」「真皮」「皮下組織」と階層になっており、表皮の中はさらに「角質層」「顆粒層 」「 有棘層」「基底層」という4つの階層でつくられています。その中で肌になる細胞が生まれるのが、表皮の一番下にある「基底層」です。
新しく生まれた肌細胞は、「基底層」→「有棘層」→「顆粒層」→「角質層」と肌表面に上がっていき、最後は垢として剥がれ落ちます。この肌細胞が生まれてから垢として剥がれ落ちるまでのことを「お肌のターンオーバー」と言います。
健康な肌であれば約28日でターンオーバーが行なわれ、古い角質が排出されて新しい肌へと生まれ変わります。
しかし、紫外線、ストレス、加齢などが原因でターンオーバーが崩れると、古い角質が排出されずにニキビやくすみなどのさまざまな肌トラブルが生じやすくなるのです。
ケミカルピーリングはこうした肌トラブルを解消するひとつの方法。古い角質を取り除いてお肌をリセットし、角質のターンオーバーを正常に戻します。ターンオーバーを整えると、ヒアルロン酸・コラーゲン・エラスチンなどが生成されやすくなり、さまざまなお肌の悩みを改善することができます。
1-2.ピーリングに使用する化学薬品の種類
では、ケミカルピーリングに使われる化学薬品とは一体どのようなものがあるのでしょうか。 現在ピーリングの主剤として使われているのは、りんご酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸などAHA(アルファヒドロキシ酸)です。
フルーツに広く見られることから、通称「フルーツ酸」とも言われています。肌にやさしい成分として知られており、角質を柔らかくして除去する効果があるので、一般的な化粧品に配合されていることも。
ケミカルピーリング剤として病院やクリニックで使われることも多いです。 そしてAHAの他には、サリチル酸などBHA(ベータヒドロキシ酸)もよく使われています。
サリチル酸は皮脂に近い性質を持つため、毛穴への浸透が良く、強力な腐食作用を持ちます。そのため、角詮・ニキビ・ニキビ痕・シミに効果的です。ただ日本ではサリチル酸の配合上限は0.2%までと法律で決まっているため、市販の化粧品ではAHAとの組み合わせで使用されることがあります。
1-3.ケミカルピーリングの効果とリスク
- ニキビ
- 薄いシミ
- 小じわ
- くすみ
- 毛穴の黒ずみ
このように、古い角質がたまることによる肌トラブルでお悩みの方は、効果を実感できます。具体的にはどのような症状を指すかというと…
・ニキビ
過剰な皮脂分泌や角質の詰まりが原因でできてしまったニキビに効果的です。ピーリングで古い角質をとり、過剰な皮脂分泌を抑え、皮脂や汚れでふさがれていた毛穴の空気のとおりを良くすることで改善が期待できます。
・薄いシミ
日光の紫外線によりできたシミには効果を見込むことができます。ピーリングによって肌のターンオーバーを促進することで、角質部分に沈着したシミが薄くなるなどの効果があります。
・小じわ
小じわは乾燥やコラーゲン不足によってできてしまいます。ピーリングで肌を生まれ変わらせることで、ヒアルロン酸・コラーゲン・エラスチンを増やし、ハリのあるお肌へと改善することができます。
・くすみ
乾燥で肌の水分が減り、ツヤがなくなることからくすみができます。ピーリングで古い角質を剥がすことで、化粧水や美容液などの浸透が良くなり、きちんと水分補給をしてあげることで改善効果が期待できます。
・毛穴の黒ずみ
黒ずみができてしまうのは、余分に分泌された皮脂と古い角質が混じり、毛穴をふさがれてしまうことが原因。ピーリングによって古い角質と毛穴の汚れの除去を行なうことで、黒ずみを目立たなくさせることができます。 このとおり、古い角質が原因で起きた肌の悩みであれば、ケミカルピーリングの効果が期待できます。
しかし、もともとの肌質が過度の乾燥肌であったり、加齢によるくっきりとしたしわができていたりする場合は、ピーリングで改善することはできません。
ケミカルピーリングをすべきかどうかは、自分の肌質をふまえて判断するとよいでしょう。とはいえ、自分で判断するのは難しいもの。病院やクリニックに相談するというのも、ひとつの手ではないでしょうか。
2.病院・クリニックでのケミカルピーリング
ニキビやしみなどの肌トラブルで悩んでいる方や、顔だけでなく背中や腕など自分では届かない箇所のケアに悩んでいる方に、病院・クリニックでのケミカルピーリングは効果的です。ただし、治療方針や治療内容は病院によってさまざまですので、事前によく調べることをオススメします。
2-1.病院・クリニックの選び方
病院・クリニックの選び方には3つのポイントがあります。
[1]肌質のカウンセリングを行なっているか
患者の肌の状態や肌質によって、ケミカルピーリングに使う薬剤の濃度や頻度は変わります。施術に入る前に、しっかりと肌質チェックを行なっている病院・クリニックかどうか、ホームページなどで確かめておくとよいでしょう。
[2]治療したい症例の実績はあるか
病院によってピーリング治療内容や方法はさまざまですので、下調べしておきましょう。ホームページには症例や実績などが記載されていることが多いので、目を通しておくと安心です。
[3]アフターケアはしっかりしているか
ケミカルピーリング後のお肌は無防備な状態ですのでアフターケアは必須。日焼け防止や保湿のスキンケアのサポートがあるか、自宅でのケア方法までアドバイスをしてくれる病院かどうかを見極めましょう。
2-2.治療内容
[STEP1]カウンセリング
医師が皮膚やニキビの状態をチェックし、肌質などを診断します。
[STEP2]クレンジング・洗顔
まずはお肌を清潔にするため、洗顔を行ないます。皮脂や汚れを事前に落とすことで、ピーリング剤の浸透を良くしていきます。
[STEP3]ピーリング剤塗布
肌質や肌の状態によって薬剤の種類や濃度、塗布時間を決めます。薬剤を皮膚に塗り、古い角質や毛穴の詰まりを除去します。
[STEP4]中和
使用した薬剤の酸性を中和させていきます。
[STEP5]冷却
ピーリング後は肌が火照っているため、鎮静効果のあるマスクやパックなどを行ないます。
[STEP6]保湿・スキンケア
日焼け防止や保湿効果のあるスキンケアを行ないます。
2-3.費用
施術1回あたり5000円~1万円ほど。治療といっても保険が適応されるわけではないので高めです。
またケミカルピーリングは1回で効果が出るわけではなく、数回経験して効果が実感できるというものであり、月に1回、合計6回~10回の通院が必要になります。トータルでどれだけお金がかかるのかを確かめることが大切です。
2-4.メリット・デメリット
<メリット> 医師など専門家によるカウンセリングで、自分の肌質を知ることができます。そのうえで適切な処置を受けられるので効果が期待できます。
<デメリット> 通院することが前提になりますので、トータルで費用が高くなりがちです。また前述のとおり、古い角質以外の原因でできてしまった肌トラブルには効果を発揮しませんので、完全にニキビやしわがなくなるわけではありません。
3.自宅でのケミカルピーリング
ピーリングを始めたい方の中には、自宅でのケミカルピーリングを検討されている方も多いと思います。まずは自分の肌質や肌の状態が、ピーリングに向いているかどうかを確かめることが大切。
肌の皮がむけるなどの過度な乾燥肌の方や顔にケガやキズがあり完治していない方にピーリングはオススメできません。炎症を起こしてしまい、逆効果になってしまう可能性が高いです。 また使用するピーリング化粧品は、肌の負担を抑えられるものを選びましょう。
「ピーリング石鹸」「ピーリングジェル」などさまざまなタイプがありますが、どんな成分が使用されているかを確認することが大切です。りんご酸などのAHA、サリチル酸などのBHAというように何が配合されているのか、きちんと明記されている商品を選びましょう。
りんご酸などのフルーツ酸は比較的肌にやさしい成分と言われており、はじめてのピーリングという方でも手を出しやすいです。 他にも、擦り落とすタイプのピーリング化粧品もありますが、このタイプの化粧品は肌を摩擦して肌トラブルの原因にもなりかねませんのでご注意ください。
3-1.方法
「ピーリング石鹸」「ピーリングジェル」など各製品によって使い方は変わりますので、必ず説明書を確認して使用方法や頻度を守りましょう。ここではそれぞれの一般的な使い方について説明します。
【ピーリング石鹸の使用方法】
▽顔をぬるま湯で洗います。ピーリング石鹸を泡立てて、アゴやオデコなどの部分に泡をのせていきましょう。
▽目元や唇以外の部分に泡をのせていきます。指でゴシゴシとこすると肌が傷つくので、やさしく泡で洗うことを意識しましょう。
▽泡をのせ終えたら、そのまま一定時間放置します。放置時間は製品によって異なりますので、説明書をよく読んでおきましょう。
▽泡を洗い流したら、いつもの保湿ケアをして終わりです。
【ピーリングジェルの使用方法】
▽クレンジング・洗顔が終わった後、タオルで顔の水分をふきとります。
▽ピーリングジェルをさくらんぼ2〜3粒ほど手にとり、顔全体に広げていきます。
▽くるくると指の腹で円を描きながらマッサージさせていくと浸透しやすいです。
▽説明書に書いてある時間の分だけなじませたら、ぬるま湯で洗い流します。
ここで注意してほしいのは、アフターケアをしっかり行なうこと。ピーリング後は古い角質が取り除かれたことで、肌に突っ張りや乾燥を感じやすいです。そのため、美容液やクリームといった保湿ケアをしっかりと行なうことが大切。また紫外線を吸収しやすいため、日焼け止め化粧品は忘れずに付けていきましょう。
3-2.費用
石鹸タイプもジェルタイプも市場価格によると、化粧品1本あたり1000円〜5000円程度です。2ヶ月〜3ヶ月ほどもちますので、通院するケースと比べてみてもコストは安く抑えられます。
3-3.メリット・デメリット
<メリット> 病院やクリニックに通うケースよりも、コストを安く抑えることができます。
<デメリット> 肌にあわないピーリング化粧品を選んでしまうと、最悪の場合は悪化してしまう可能性があります。
4.まとめ
ケミカルピーリングは正しく始めれば美肌効果が期待できますが、自分の肌質にあわないものを選んでしまうことで、逆に悪化してしまうこともあります。いまはインターネットで海外製品も手に入りやすいことから、日本人の肌にあわないものを使ってしまうというリスクも。 ケミカルピーリングで美肌をつくる第一歩は、自分の肌質を見極めること。ピーリングをはじめる前に不安があるという方は、一度、医師などの専門家に相談したうえで始めることをオススメします。